精神科に入院したときの権利
人権は国民が平等に持っている権利であり、どのような場面においても尊重されなければならないものです。人権には、自分の意思で、自らの行動や、生き方を選ぶことも含まれています。
病気の悪化によって入院しなければ心身の安全が守れない状況においては、本人の意思にかかわらず入院治療を開始したり、生命を守るためにやむを得ず本人の行動を制限することがあります。
このような場合においても、人権が適切に守られたうえで、医学的な必要性についての厳格な判断と、法的に定められた手続きに則って行われる必要があります。
入院の制度について
ここでは、精神科への入院の仕組みとともに、人権が適切に守られるべきことや、入院患者には様々な権利があることをご紹介します。
精神科の入院制度には大きく分けて3つあります。本人が自ら入院に同意する「任意入院」、家族等のうちいずれかの者の同意による「医療保護入院」、都道府県知事の権限による「措置入院」に分けられます。こうした入院制度は精神保健福祉法で定められています。
このうち、本人が入院の必要性を理解し、自らが選択して入院する「任意入院」が最も望ましいものです。任意入院以外の場合は、本人の意思に反して入院をすることになりますが、そのような入院の際には、「告知義務」があり、十分に説明を受けることとなっています。
-
任意入院
患者本人に入院する意思がある場合、任意入院となります。
症状が改善し、医師が退院可能と判断した場合や、患者本人が退院をした場合に退院となります。 -
医療保護入院
医療と保護のために入院の必要があると判断され、患者本人の代わりに家族等が患者本人の入院に同意する場合、精神保健指定医の診察により、医療保護入院となります。連絡のとれる家族等がいない場合、代わりに市町村長の同意が必要です。
-
措置入院
2名以上の精神保健指定医の診察により、自分を傷つけたり他人に危害を加えようとするおそれがあると判断された場合、都道府県知事の権限により措置入院となります。