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精神科コラム

精神科医の坂本です。

精神科医の坂本です。

 

さて、本日は、「エビデンス」とか「臨床研究」といった言葉について簡単に紹介します。

 

「エビデンス」というのは「明らかなもの」「証拠」などの意味として用い、医学的には「臨床研究などで得られた客観的かつ最適な事実」という意味で用いられることが多いです。「エビデンス」には格付けがあり、メタアナリシスという研究手法やランダム化比較試験と言われる研究手法からなるエビデンスなんかが優秀です。

一方でデータに基づかない専門家の意見などは実は格付けは一番低かったりします。医師の経験則や専門家の理屈で言えばそのはずだ!という意見が、しっかりした臨床研究からなるエビデンスに真っ向から否定されるなんてことも昔はしばしばありましたね。

 

「臨床研究」の中でも2重盲検ランダム化比較試験というのがユニークです。これは、Aという薬剤がBという疾患に効果があるか?という時によく用いられる手法です。

まず、〇百人くらいのB疾患の人達を年齢や性別、人種、その他要素を同じくらいにした2つのグループにランダムに分けます。そして、実薬群(A薬)と偽薬群(ブドウ糖)にして開始しますが、この時に結果は第3者が統括して、医師も患者さんも自分がどちらを処方しているのか、もしくは処方されているのかわからないようにするのです。

 

医師サイドは、自分が知っているとつい心理的に「この患者は本物の薬の方だから治っていくはずだ」なんて思っちゃって高評価をつけてしまう危険性を排除しているし、患者さんサイドからはプラシーボ効果(薬を飲むだけで治っていくように感じてしまう・・・というか精神科領域はまあまあ治る。)をしっかり評価する狙いもあるわけです。

 

当然、A薬剤は、このプラシーボ効果を超える明らかな薬効がないと次に進めません。実はうつ病の薬剤なんかはこのプラシーボ効果に実薬が結構負けたりするんですよね・・・・。

 

 

精神科診療部長 坂本 成映