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精神科コラム

認知症告知について②

 認知症の中でも70%程度の大部分を占めるアルツハイマー型認知症に関しては、神経へのダメージを及ぼすアミロイド蛋白やタウ蛋白と言われる物質が脳内にたまっていくことが簡易な病態生理である。

 

 この一連の流れは40歳代から始まっているともいわれる。最近では、このアミロイドを除去するような薬剤が市場に登場してきた。早く早くに治療をすることで発症自体を予防していこうという流れだ。

 

 ある報告で、「認知症になりうる要素があるかの検査を受けたいか?」という質問には90%の人が「結果を教えてもらえるなら受けたい」とする一方で、「もしアルツハイマー病のハイリスクと分かったら自殺を真剣に考える」という方が10%以上いらっしゃると言う(概略)。

 

 知る権利と知らない権利というものを考えていかなくてはならないが、これって答えの出る問題なのだろうか・・・難しい問題だ。

 

 しかし、認知症患者は現在500万人以上いて、2060年には800万人を超えると言われる。

 

 医療技術の進歩だけではなく、我々はこういった問題について「答え」なくとも考えていかねばならない。

 

 

精神科診療部長 坂本 成映