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精神科コラム

アルツハイマー病? アルツハイマー型認知症?

 アルツハイマー病とアルツハイマー型認知症は、しばしば混同されることがありますが、実際にはやや異なる概念です。

 

 アルツハイマー病は、特定の神経の病気であり、脳内の神経細胞が徐々に死んでいくことによって引き起こされます。この病気が進行すると、記憶や思考、判断力に影響を及ぼし、日常生活に支障をきたすことが多くなります。

 

 一方、アルツハイマー型認知症は、アルツハイマー病によって引き起こされる認知症を指します。少し、ややこしいのですが、脳内で神経の病気が認められアルツハイマー病であっても、認知症の症状はないアルツハイマー病があるということです。つまり、アルツハイマー病は病気そのものであり、その結果として現れる症状がアルツハイマー型認知症です。

 

 アルツハイマー病の原因については、さまざまな仮説がありますが、近年特に注目されているのが「アミロイド仮説」です。これは、アルツハイマー病の発症において、脳内に異常なアミロイドβというタンパク質が蓄積されることが重要な要因であるとするものです。アミロイドβは、脳内で作られますが、何らかの理由でその分解がうまくいかず、蓄積してしまうと、神経細胞に対して毒性を持ちます。この蓄積が神経細胞の死を引き起こし、結果として記憶や思考能力の低下をもたらすとされています。

 

 このアミロイド仮説に注目して開発された、疾患修飾薬という新しいタイプのアルツハイマー病の薬が、2023年(レカネマブ)と2024年(ドナネマブ)に日本でも承認されました。どちらも、アミロイドβを標的にしたモノクローナル抗体と呼ばれる薬です。認知機能の低下を遅らせる効果が期待されていますが、脳のむくみなどの副作用も報告されており、使用には注意が必要です。

 

 

副院長 梅野一男