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精神科コラム

運動と心の問題

 運動は身体の健康だけでなく、精神疾患の予防や治療にも重要な役割を果たします。定期的な運動がうつ病や不安障害、ストレス関連の症状など、様々な精神疾患のリスクを低減することを多くの研究や論文で明らかにされています。

 

 運動が精神の健康に良いとされる理由はいくつかあります。まず、運動によりエンドルフィンやセロトニンなどの「幸せホルモン」と呼ばれる一部の神経伝達物質の分泌が促され、気分が向上します。同時にストレス関連ホルモンであるコルチゾールを下げる効果もあり、疲労感と共にリラックスした状態になることができます。さらに、規則正しい運動は睡眠の質を向上につながり、精神健康に良い影響をもたらすことになります。

 

 精神疾患を持つ人々にとって、運動は治療プログラムの一部として取り入れることが推奨されてます。軽度から中程度の運動は、症状の軽減や自己肯定感の向上に有効と言われているからです。しかし、運動プログラムはその調整が難しく、個々の体力や健康状態に合わせて適切になされることが重要で、治療目的に行うには専門家の指導のもとで行うことが必要です。

 

 運動は薬物療法や心理療法と並び、精神疾患の治療において重要な柱の一つと考えられています。日々の運動習慣が、精神的な健康を支え、生活の質を高める一助となるでしょう。

 

 

精神保健医療部長 平岡 健太郎