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精神科コラム

甲状腺機能とうつ病・認知症について

 精神科では、普段内科などで血液検査を受けている患者様にも一度血液検査を受けていただくことがあります。それは、血液検査によって分かる身体疾患によって精神症状、特にうつ病や認知症のような症状が生じている可能性があるからです。その一つが甲状腺機能異常です。

 

 甲状腺とはのど仏の下にある蝶が羽を広げた形をした臓器で、甲状腺ホルモンというホルモンを作っています。このホルモンは体の様々な臓器で新陳代謝を盛んにする、自律神経の働きを調整するなど大切な働きをしています。

 

甲状腺ホルモンが少なすぎる状態を「甲状腺機能低下症」といい、疲労感、むくみ、寒がり、体重増加、動作緩慢、便秘、眠気、無気力、記憶力低下などが主な症状です。

一方で、甲状腺ホルモンが多すぎる状態を「甲状腺機能亢進症」といい、疲労感、むくみ、暑がり、発汗、体重減少、動悸、息切れ、手足の震え、軟便、イライラ、落ち着きのなさなどが主な症状です。

 

 精神症状に注目すると、甲状腺機能低下症・亢進症のどちらも様々な精神症状を引き起こす可能性があります。

甲状腺機能低下症では、精神機能の低下により無気力、記憶力低下、集中力低下、抑うつ、疲労感、動作緩慢などの症状が表れ、うつ病や認知症と見分けがつかない場合があります。

 甲状腺機能亢進症では、感情が不安定で神経過敏になり、イライラ、落ち着きのなさ、集中力低下、多弁といった躁病を疑わせる症状もあれば、抑うつ、不安、焦り、不眠といったうつ病を思わせる症状も起こりえます。

 

 甲状腺機能は通常の血液検査に追加して検査でき、原因疾患にもよりますが多くの場合内服治療で甲状腺機能を正常に保つことで症状改善が期待できます。

気になる症状などがございましたらお気軽にご相談ください。

 

精神科保健指定医  吉田 武史