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精神科コラム

スーパーエイジャーって何?

「スーパーエイジャーって何?」

 

 皆さんは、スーパーエイジャー(Superager)について聞いたことがありますか。そのまま訳すと、超高齢者となります。研究者により、いろいろな定義がありますが、一般的には80歳以上の高齢者であるにも関わらず、記憶力などのスコアが平均以上、場合によっては50~60歳代程度のスコアを持つ高齢者のことです。彼らはどのような理由でスーパーエイジャーとなっているのでしょうか。

 

 加齢に伴う脳の変化は「萎縮(脳の神経細胞が死んで脳が縮むこと)」と「働かなくなる」ことです。

ヒトの脳は、30歳代くらいから少しずつ「萎縮」が始まっているといわれていますが、スーパーエイジャーの脳では、萎縮の度合いが少ないことが分かっています。脳の若さで考えれば、50~60歳代の脳とほぼ変わらないという報告もあります。

 

 特に興味深い研究に、スーパーエイジャーでは、脳の「前帯状皮質」と呼ばれる部分が、普通の高齢者はもとより、中年者と比較しても厚さが勝っていたというものがあります。「前帯状皮質」は「感情や社会性」にかかわる部分とされています。つまり、スーパーエイジャーは「豊かな感情や積極的な社会性」をもっており、それが脳全体の機能の低下を防いでいる可能性があります。

 

 現在は、まだスーパーエイジャーに特有の遺伝子などは見つかっていません。子供の頃からスーパーエイジャーを研究した報告もありません。しかし、うつ病の発症を防いだり早期に発見し治療することや、周囲との交流を保ち孤立しないでいることは、私たちもスーパーエイジャーに近づく有効な手立てかもしれません。 

 

副院長 梅野 一男