福岡県田川市弓削田3237

文字サイズ 標準

採用情報

トップページ > 精神科コラム一覧 > 手術で認知症が治ったAさん

精神科コラム

手術で認知症が治ったAさん

今回は治る認知症の例をあげます(実在の患者さんではありません)。
Aさんは76歳で、奥さんを早くに亡くしましたが長男家族と元気に暮らしています。趣味はゲートボールで、小学生のお孫さんと一緒に練習するのが楽しみです。
ある日曜日、いつものようにAさんとゲートボールの練習から帰ったお孫さんが言いました、「おじいちゃん歩き方が変だよ。ドタドタ歩いてフラフラしてる」。
Aさんの息子さんもこの頃Aさんの足腰が弱ったな、年のせいかなと思っていました。お嫁さんも「実はお義父さん、最近おしっこの失敗が時々あるみたいだし、物忘れやぼんやりしてることが多いのよ」と言います。
家族は認知症かなと思い、かかりつけ医の先生に相談したところ認知症の専門であるB病院を紹介されました。Aさんは気が進みませんが、お孫さんに「早く診てもらって、またゲートボール大会で優勝しようよ」と言われ受診することにしました。
B病院では頭のCTやMRIの撮影や血液検査、物忘れの検査等のあと何回か廊下を歩いてみてくださいと言われました。
最後に先生から「おそらく特発性正常圧水頭症で手術で治る可能性があります」と言われました。
特発性正常圧水頭症とは、脳の中にあるため池のような場所に液体がたまり過ぎて起きる病気で、歩行障害(歩きにくい)、認知症、尿失禁の三つが特徴的だそうです。
Aさんは、脳外科でたまり過ぎた液体をお腹に逃がす手術を受け、すっかり元気になりました。
全ての特発性正常圧水頭症が手術で治るわけではありませんが、Aさんのように元気になる人も多いので、まずはかかりつけ医の先生に相談してみましょう。

 

副院長 梅野 一男