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精神科コラム

社交不安障害(社交不安症) 架空症例

Aさんは18歳の女性です。小さい頃から人前で意見を言ったり発表したりすることが苦手でしたが、高校生頃からそのことをよりはっきりと自覚するようになりました。あるとき国語の授業中、教科書を朗読しようとしたところ緊張のあまりどもってしまい、それ以来人前で話すことが極端に怖くなり、何かの発表をしないといけない日は学校を休んでしまうこともありました。高校を卒業し大学へ入学しましたが、大学でも同じように人前で緊張して学校生活が上手くいかないのではないかと心配になり、精神科の病院を受診しました。そこで社交不安障害という診断を受け、単なる性格の問題ではなく、治療が可能な病気であるということを知りました。

 

Aさんはカウンセリングを受けると共に、内服治療も受けることにしました。人前で話をしないといけないときに、事前に不安・緊張を鎮める薬を飲むことにしました。すると、心配していた大学でのグループディスカッションやプレゼンテーションのときにも強い緊張を感じることなく過ごすことができ、次第に自信を持てるようになりました。そのうち、特別な場面以外では薬を飲まずに過ごせるようにもなり、サークル活動やアルバイトなどの新しいことにもチャレンジし、充実した生活を送れるようになりました。

 

精神保健指定医 吉田 武史